青い蝶の名前を借りたガチャ
荒野行動のガチャって、たまにとんでもない名前を連れてくる。
オオルリアゲハ。読めます? おおるりあげは、です。大きい瑠璃色の揚羽蝶。
開催は2024年9月13日から
このシリーズが実装されたのは2024年9月13日の金曜日。青い蝶をテーマにしたスキン群が、まとめて降ってきました。
荒野行動は復刻の多いゲームなので、今も回せるかどうかはアプリ内の告知を見るのが確実。この記事では、中身と、名前の裏側を掘っていきます。
スキン名に共通するユリシスという単語
ラインナップを眺めていて最初に気づくのが、名前の付き方。
躍動:ユリシス。パラシュート:ユリシス。
シリーズ名がオオルリアゲハなのに、個々のスキンにはユリシスという別の単語が入る。ここ、スルーしている人が多いと思うんですよ。
でも実はここが全部の入口でした。
ユリシスが背負っている名前
学名はPapilio ulysses
オオルリアゲハの学名は Papilio ulysses。
つまりユリシスというのは、この蝶の学名そのもの。英語圏だとユリシス・バタフライと呼ばれていて、日本語名より通りがいいくらいです。
シリーズ名が和名、スキン名が学名。並べたときにようやく意味が繋がる仕掛けになっている。
オデッセウスのラテン語名だという事実
さらに掘ると、もう一段ある。
ユリシーズというのは、ギリシャ神話のオデッセウスのラテン語名です。
トロイア戦争のあと、帰るのに十年かかったあの人。海を漂って、寄り道を重ねて、なかなか目的地にたどり着けなかった男。
その名前が、ガチャに付いている。
(いや待って。それ縁起いいのか?)
初めてここに気づいたとき、思わず声が出ました。目的のものにたどり着けない旅の代名詞ですよ。ガチャの名前として、皮肉が効きすぎている。
モチーフとして出来すぎている蝶
翅の青は色素ではない
実物のオオルリアゲハについて調べると、面白さがさらに増します。
翅の表は目の覚めるような青。ところがこの青、絵の具のような色素ではありません。鱗粉のナノスケールの層が光を選んで反射する、構造色と呼ばれるもの。
だから見る角度で表情が変わる。日差しが強いほど青が濃く立ち上がる。
翅そのものに青い色がついているわけじゃない。光が当たったとき、こちらの目に青として届くだけ。
閉じれば枯葉、開けば電光
もっと痺れるのが表と裏の差。
翅の裏側は地味な黒と茶色。枯葉みたいな色合いで、止まっているときは周囲に完全に溶け込みます。ところが飛び立って翅を広げると、反射した光が数百メートル先まで届くと言われるほど輝く。
開張はおよそ十センチから十四センチ。手のひらより大きい蝶が、視界の隅でピカッと光る。
止まれば見えない。飛べば眩しい。
ガチャの演出そのものでしょ、これ。
金券を溶かして覚えた単発と10連
10連のほうが得だと聞いて
ここからは僕の話。
荒野行動のガチャには単発と10連があります。ふつうは確率に差がないんですが、金券を使うガチャだと事情が変わる。10連にすると1回分がタダになる仕組みがあって、10枚必要なところが9枚で済む。
これを知って、僕は完全に理屈で武装しました。(10連のほうが得。なら10連一択だろ)
夜、寝る前に軽く回すつもりでタップした。
途中で止められないという構造
ここで見落としていたのが、10連の性質です。
始まったら止まらない。一枚ずつ結果を見ながら判断するという選択肢が、消える。
演出が流れる。ピロン、ピロン、と軽い音が続く。欲しいものは来ない。じゃあもう一回、と親指が勝手に動く。この時点で、頭で考えて引いているんじゃなくて、指が惰性で引いてる。
画面の光で自分の顔が青くなっているのが、暗い部屋で分かる。口の中が乾いてくる。
(次で来る。絶対来る)
来ませんでした。
翌朝、履歴を開いて
翌朝、金券の残数を確認して、胃がスッと冷えました。
具体的な数字はここに書きません。書く気にならない。ただ、その月に予定していた買い物がひとつ消えたとだけ言っておきます(泣)。
反省したのは金額そのものじゃなくて、判断を止めたこと。得だという理由で10連を選んだのに、その10連が僕から止まる機会を奪っていた。
得と安全は別の話だった。あの夜の僕は、そこを混同していた。
引く前に見ておきたい数字
排出確率は桁で判断する
荒野行動の限定スキン、いわゆる金枠の排出確率は相当に低いです。シリーズによっては小数点以下二桁の世界。
パーセントの数字を読むとき、大事なのは何パーセントかじゃなくて、小数点の後ろにゼロがいくつ並んでいるか。ここを見る癖をつけると、期待の持ち方が現実的になります。
回す前に確率表を開く。地味だけど、これが一番効く。
金券の使い方で総額が変わる
そのうえで、引くと決めたなら組み立てを考える。
10連の割引を使うか、それとも一回ずつ結果を見て手を止められる状態を確保するか。この二つはトレードオフです。単価の得を取るか、撤退の自由を取るか。
僕がおすすめしたいのは、回す前に上限を決めて、その分の金券だけを財布に入れておくイメージを持つこと。残高を見ながら回すと、必ず削り取られます。
あと、ガチャシミュレーターは思っている以上に有効。無料で爆死の感触を味わえるので、頭が冷えます。
一日に三匹という言い伝え
ケアンズの熱帯雨林で語られる話
実物の蝶に話を戻します。
オオルリアゲハはオーストラリアのクイーンズランド州北東部、ケアンズ周辺の熱帯雨林に生息していて、現地では幸せの青い蝶として親しまれています。
一度見れば幸運が訪れる。肩に止まったらさらに良いことがある。そして、一日に三匹見たらお金持ちになれる。
三匹。三連撃。ガチャで金枠が三つ出るのと、どっちが難しいんだろう。
見えるかどうかは光の角度で決まる
面白いのは、この蝶を見つけられるかどうかが、その人の運だけで決まらないこと。
構造色は光の角度で見え方が変わります。太陽が高いほど青のコントラストが際立つ。つまり、いつどこを見るかで、出会える確率が動く。
現地のツアーが時間帯や場所を選ぶのは、そのため。運任せに見えて、条件を整えた人のところに現れやすい。
ガチャの話に引きつけるつもりはなかったんですが、どうしても重なって見えるんですよね。
僕らが買っているのは、青が見える瞬間
このシリーズを調べていて、いちばん腑に落ちたのがここです。
オオルリアゲハの青は、翅に塗られていない。光が当たった角度でだけ立ち上がる。角度が外れれば、枯葉と同じ色に沈む。
ガチャで手に入れたスキンも、たぶん似ている。
金券を払った瞬間に価値が生まれるわけじゃない。ロビーで誰かが立ち止まってくれたとき、あるいは自分がふとその青を見て気分が上がったとき、そこで初めて色がつく。
だから引くなとは言いません。ただ、あの夜の僕みたいに、暗い部屋で指だけ動かしている状態は、たぶん何も見えていない。
上限を決めて、光の当たるところで引く。オデッセウスの名前を背負ったガチャに突っ込むなら、せめて帰り道は確保しておきたいところです。
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