知る人ぞ知る伝説の大剣、アーティラートとは
大剣使いなら一度は聞いたことがある名前だと思う。
ディアブロス通常種と亜種の素材を両方用いた大剣で、強化することで角竜剣ターリアラートを経て、角王剣アーティラートへと完成する。その見た目も独特で、刀身自体も前後で2色に分かれており、前の刃部分は後ろの刀身の色で、後ろの刃部分は前の刀身の色になっているという凝った作り。刀身には角竜と彫られており、2つの素材を固定するためか、棘付きの輪がはめられている。
二頭のディアブロスを素材に持つだけあって、外見からしてただごとじゃない。
初登場したMHP2Gにて一大センセーションを巻き起こした大剣であり、以後のシリーズにおける大剣の調整などにも大きな影響を残したとされ、その知名度は非常に高い。
武器ひとつがシリーズの調整方針に影響を与えた、というのはなかなか聞かない話さ。それだけこの武器が当時のモンハン界隈に与えた衝撃が大きかったということだろう。
ディアブロス両種が必要、という壁
アーティラートを目指すうえで最初に立ちはだかるのが、素材集めのハードルだ。
ダブルブロスソードの段階では、ディアブロス通常種と亜種の素材を両方用いる必要がある。通常種だけならまだいい。問題は亜種の方で、特にG級の黒角竜素材が要求される段階からが本番になる。
最終的な強化には、堅牢なねじれた角と堅牢な黒巻き角がそれぞれ必要になる。
この堅牢な黒巻き角というのが、実際に集めてみるとかなりしんどい。G級のディアブロス亜種を周回する必要があり、しかも角折りを狙わないといけない。ここで心が折れる人は少なくないと思う。
MHP2G、アーティラートが神だった時代
MHP2Gのアーティラートは、ぶっ壊れだった。
攻撃力は最高峰の1488、武器倍率にして310。さらに斬れ味レベル+1によって紫ゲージ40を得られる。大剣では20あれば十分と言われる紫ゲージをさらに20も上回るのはもはやオーバースペックとも言える。
紫ゲージ40…正直、当時それを見た時に数字の意味がしばらく理解できなかった。20で十分なのに40って何?ってなった。
そして会心率は-15%。通常ならここがネックになる。でも当時のMHP2Gには、それを完全に無効化する手段があった。
MHP2G当時の抜刀術は、抜刀攻撃の会心率を強制的に100%にするというものだったため、このマイナス会心を完全に無視できた。これらを併用した通称・匠抜刀アーティという戦法が猛威を振るった。
匠抜刀アーティ。この言葉だけで当時の大剣使いの間では通じる合言葉になっていた。斬れ味レベル+1で紫ゲージ確保、抜刀術で会心100%固定、そして集中スキルで溜め時間短縮。この3つが揃った時のアーティは、当時のモンハンにおいてほとんど敵がいなかった。
加えて、当時の属性大剣の攻撃力が軒並み1200前後であり、溜め斬りで属性値がアップしない仕様だったがゆえに属性大剣の人気が全体的に低かったことも、アーティ一強に拍車をかけたと考えられる。
属性が活かしにくい環境で、物理最強の無属性大剣。完璧すぎる。
あの夜、初めてアーティを作った話
MHP2Gをプレイしていたのは、確かPSPの画面がまだ新鮮だった頃だ。
友人に「大剣やるならアーティ一択」と言われて、その時は半信半疑だった。大剣初心者の自分にはそんな最強武器を使いこなせる気がしなかったし、そもそもG級ディアブロス亜種を倒せる気もしなかった。
最初の数回は本当に酷かった。ツッコんでくる角に何度潰されたか分からない。立ち位置を意識しろと言われても、あのプレッシャーは異常だった。突進してくるあの音、ズドドドド…という地響きがゲームの中なのにやけにリアルで、毎回一瞬身がすくんだ。
それでも角折りを意識しながら閃光玉と音爆弾を惜しまずに使い続けて、ようやく堅牢な黒巻き角がドロップした瞬間のあの画面。え、出た…?と目を細めて何度も見返したのを今でも覚えている。
アーティが完成した時、試しに普段では歯が立たなかったモンスターに挑んでみた。
結果が出るまでに時間がかからなかった。溜め3がクリーンヒットした時のドシャンという音と数字を見て、(これは…おかしい)と思った。武器ひとつでこんなに変わるものなのか、と。
初心者だった自分の失敗談
アーティを作ったはいいが、最初のうちは全然使いこなせなかった。
大剣の基本は溜め攻撃を当てること。それは分かっている。でも溜め3まで溜めようとしているうちにモンスターが動いてしまい、空振りが続く。せっかくの紫ゲージも、当てられなければ意味がない。スカッと風を斬る感触が、悔しいやら恥ずかしいやら。
友人に「集中スキル付けてる?」と聞かれた時、付けていないことを告げると「それじゃアーティの強さが半分も出てないよ」と言われた。
集中スキルは溜め時間を短縮する。つまり匠抜刀アーティの3スキルのうち、集中を欠いた状態だったわけだ。スキルの組み合わせを意識せずに武器だけ揃えても、本来の強さは出ない。装備構成も含めてひとつの武器、というのはここで体感した。
後継作でのアーティラート、変化と衰退
MHP2Gでの暴れっぷりが響いたのか、後続のシリーズではアーティラートは静かに弱体化していくことになる。
MHP3から抜刀術の効果が抜刀攻撃の会心率を+100%するというものに変更されてしまったため、見切りスキルなしでは会心率を100%にできなくなってしまった。さらに肝心の紫ゲージがたったの10、続く白ゲージも20と継戦能力が大幅にダウン。会心率も-20%と更に悪化している。
この変更は大きかった。会心の仕組みが変わったことで、マイナス会心が完全に無効化できなくなった。紫ゲージも10に激減。同じ武器でも、ゲームが変わると別物になる。
総合性能でネロ=アングイッシュに最強の座を譲るどころか、G級序盤武器である剛断剣タルタロスにまで負けるとすら言われ、MHP2Gでの栄光から一転、3番手に甘んじる存在になってしまった。
かつての頂点武器がG級序盤武器に負ける…。なかなか残酷な評価だ。でもこれがシリーズを通じてバランスが調整されていくモンハンの現実でもある。
MH4Gでのアーティラート再登場
通常種・亜種ともに登場しているため、ディアブロス大剣としてこちらが採用されている。角竜剣ターリアラートから角王剣アーティラートへ強化される。
MH4Gでアーティが帰ってきた時、古参プレイヤーの間では久々の再会ムードがあった。あの名前を見ただけでP2G時代を思い出す人も多かったと思う。
MH4Gの敵の肉質は概ね物理が属性を上回る傾向にあり、大剣は抜刀溜め3メインの戦法が強く、攻撃回数が減るぶん切れ味の消耗も少ない。物理最強の無属性大剣として再び評価を取り戻した。
環境が変われば武器の評価も変わる。MH4Gではアーティが再び大剣の有力選択肢として復権した形になった。
アーティラートを使う時に意識したいスキル構成
アーティラートの強さを引き出すには、武器だけ揃えても不十分だ。スキル構成が重要になる。
基本的には3つのスキルをどう揃えるかがカギになる。斬れ味レベル+1で紫ゲージを確保すること。抜刀術で抜刀攻撃の会心率を引き上げること。集中で溜め時間を短縮すること。この3つが大剣アーティの基本軸になる。
集中・抜刀術・匠の3スキルが合わさったアーティラートは凄まじいDPSを発揮した。このような事態を招いた反省からか、これ以降メインシリーズの大剣は上記3スキルの発動をほぼ前提とした調整がされるようになり、後の大剣という武器種そのものに多大なる影響を与えた名剣とも言えるだろう。
大剣という武器種の調整基準を変えた武器。それがアーティラートだった。
無属性であることの意味
アーティラートは無属性大剣だ。属性がないことをデメリットに感じる人もいるかもしれない。でも実際には、無属性であることが強みになる場面の方が多い。
属性武器は相性のいいモンスターには強いが、相性の悪い相手には火力が落ちる。無属性なら対象を選ばない。どのモンスターに対しても同じ物理火力を叩き込める一本あれば安心な汎用性がある。
G級の敵の肉質が物理寄りであればあるほど、属性より純粋な物理攻撃力の高さが光る。それがアーティラートをエンドコンテンツでも有力候補にし続けてきた理由だ。
アーティラートが持つ、武器以上の価値
性能だけで語るなら、シリーズが進むにつれて上位の武器は必ず出てくる。それでもアーティラートがいまだに語られるのは、MHP2G時代に大剣というプレイスタイルを多くのプレイヤーに体験させた功績があるからだと思う。
あの時代に抜刀大剣の快感を覚えた人間が、その後もモンハンを続けている。溜め3をクリーンヒットさせた時のあのズドンという感触を知っている人間が、今でもアーティという名前を聞くと少し懐かしくなる。
ダブルブロスソードはディアブロス通常種と亜種の素材を両方用いたものであり、それを強化することで角竜剣ターリアラート、そしてこの角王剣アーティラートとなる。
二頭のディアブロスを素材に、苦労して作り上げた大剣。その重みは、数字だけでは測れない。素材集めで何度も力尽きて、ようやく完成した時の達成感がそのまま武器の愛着になっていく。
モンハンという作品において、武器は単なるステータスの集合体じゃない。作るまでの過程も含めて、自分だけの一本になっていく。アーティラートがこれほど長く語り継がれているのは、その過程がひとりひとりに刻まれているからだろう。
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